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絆をつなぐ(房総の旅完結編)


    絆をつなぐ


現在、過去、未来、トンネルをくぐると夢の世界



そのトンネルは絆をつなぐタイムマシンである。未知の国の人と出会い絆を求め

会社の絆を強くする旅でもある。房総のバスもまたタイムマシンであり過去の若さを

取り戻し少年のように見るもの聞くものに目を輝かせる。


今昔、時代の流れに変わりなく人々の旅へのあこがれはタイムマシンに乗り未知の世界

へと旅立つ

 

房総を巡るバスの旅



 房総を巡るバスの旅は、なまんぬるう潮風が車窓を吹きぬけ

残り少ない頭髪を風がさらい一本二本と房総の地へと飛んでゆく。

 
  髪が飛ぶ空を飛ぶトキオ・トキオ・トキオが空を飛ぶう


沢田研二に憧れたあの当時の歌を思い出し口ずさむ留さんであるが

やがて悲しく、あ〜我がいとしの毛髪をさらう房総の風うらめしなどと

顔を歪め苦笑いする留めさんであった。

 バスはそんな留さんにおかまいなく

房総のある川の橋のたもとを通りかかるのであった。



 

ヒョウ〜、イルカ、川で水遊びしてる飛んだり、跳ねたり


運転手さんバス止めて、鴨川シーワールドから逃げてきたイルカかな〜、おもろいで。

いままでのバスの中の静けさは騒然とし富が指さす川の方向へ一斉に目をやる。

 富、あれイルカにみえます?イルカ赤いべべ着て指に

マニキュアしてます?どう見ても女の人が溺れてるように見えます。

そうですか?イルカ赤いべべきてマニキュアしてますかおもろいイルカだすな〜。

社長はん、どうしましょ、助けましょ、早くしましょ早くワーワー、ガヤガヤ



 橋の欄干には赤い鼻緒の着いたぞうりが揃えてあり、はかない恋の行く末

を悲観したのか人生に疲れたのか皆の想像を掻き立て注目の的である。



よしゃ、富



お前は会社で独身で一番若く足腰も丈夫で力持ち、行って助けて来い。

   え?溺れたイルカ助けますのん?

イルカじゃなく若い女の人じゃ。若い女と聞いた富は人命救助の命を受け崇高な心意気

であるがイルカと女性と間違えるほどのアホである。

 あれは富が小学校の4、5年の頃だったと思うが学校で検便があり当時は物の無い時代

農家の人たちは化学肥料は高くて買えなかったからおもに人糞に頼っていた。

それを宿し生まれた虫を人間が野菜と一緒に食べると寄生虫を腹の中に飼う

ことが稀にある。

 
   みなさん、あす検便があります。マッチ箱に入れ忘れないで持ってきてください。


富は勉強や先生の言ったことがあんまり耳に入らず、缶けりなど遊びのことを考えて

いるが、この日はめずらしく先生の言ったことが耳にはいった。


 そうがあ〜明日、検便あるのがあ〜一番とろう。


なにかを勘違いしている富である。


 おっかあ、明日学校で検便があるすけマッチ箱ねえが。

マッチ箱ならほれマッチ箱がちょうどカラになったどこだ。

ストーブの脇に置いだ、それ使え。

 
 富の朝は輝く朝、黄金の快便これなら一番、間違いなし

んでマッチ箱にもウン子を詰めカバンに入れたし

元気よく家を飛び出し学校へと向かう。

 この日の富はなかなか絶好調だと自分では思っている。絶対一番だと信じてる。

みなさん、検便もってきましたか?出してください。


 へへへへ、そらきた、そらきたオラ早ぐ出そ。



普通、検便は小さいマッチ箱に入れて持ってきましたよ。

昔のマッチ箱には徳用マッチ箱がありましてサイズが10cm×10cm×5cm

で大きめの箱がありました。

大きなマッチ箱にテンコ盛り、箱からはみだしそうである。

自慢げに机の上に置きそれを見上げる先生、生徒

やはり富が一番である。品評会ならば一等賞、大きさと輝きが日本一。

そんな品評会あるのかしら?


 富は31歳で根は優しいのであるが、やはりアホの仲間にいるとその色に

 限りなくアホに染まり、一人前のアホに育つのが楽しいと思っているのが

社長以下、留など社員一同の願いだ。この会社の社訓には「立派なアホ道を

貫き人のため世の中のための潤滑油となるべし」と唱ってあるから社長はなかなかの

洒落がきいた人である。

 しかし仕事に就くときは、アホはやめて、一生懸命、仕事に取り組んでほしいと言ってる

がアホが染み付いた社員たちはなかなかアホから抜け出せない。

それでも会社が成り立っているのは人のため世の中のための潤滑油になっているからだろう。


 


      六尺ふんどしと赤い腰巻


 社長さん、よく考えたらオラ泳げないんですけど。

すると後ろの席でじいさんが

こら、若衆なんか長いもん持ってけ、そうじゃワシのふんどし持ってけ

六尺ふんどしだから長いぞ、これをたして、投げて助けるのじゃ。川に着いたら

小石を拾ってふんどしの先に包んで女の人めがけて投げるんじゃ。

女の人がふんどしつかんだらゆっくり引き上げるんじゃ

それでも届かなかったらどうすんねん。とばあさんが言う。

ばあさんが赤い腰巻脱ぐからそれも持って行き。

いあ〜、それはちょっと若い男がバスの中みんなバス酔いするからやめて。

なにヌカス、人助かるかどうかの瀬戸際じゃ、そんなこと言ってるバヤイか

   バス、ヌカシしてそんなバヤイです。そうです。そんなバヤイです。


一刻も早く助けんと浮いたり沈んだり、このままもう少し、

あ〜胸のあたりが煤けて乳首がなんとなく

 マロンチックやな〜、マロンチックやな〜、じゃなくマロンチックじゃなくロマンチック

   やかまし、そんなんはどうでもええ。はよう助けな、このエロじじい


六尺ふんどし三本、ばあさんの赤い腰巻二本はしっかりと抱きかかえられ

川面に降り立つ富は女の人めがけふんどし投げる。


  あ、痛ッといってごつんこ。メンゴ、メンゴ、ごめん、ごめん、ごめんなさい


アホやなあ、富は、頭めがけ命中しとる。

 ソラ、もう一度、オ、今度はうまくいった。

その調子、その調子、バスの中は一喜一憂のどよめきが走り岸辺にふんどしをたぐりよせると

おおきな拍手と歓声があがる。


      富は今まで女の人には縁がなかった



 女はどっしりした男の背中に埋もれ温かいものを感じ

房総の潮の流れに身をまかせいつまでもこの男におぶさっていたい

出来ることなら生まれ変わってこの人と一生過ごしたいと思う。

 男は濡れた女の髪が頬をなでるのが心地よく一生守っていたい思う。

女の過去のことはどうでもいい、このままおんぶしていたい。

このまま草陰の中へ隠れたいと思うが


     男は女を背負いバスへ向かって歩き始める。

 それは見知らぬ男と女が房総の地で出会いふんどしと赤い腰巻や会社の仲間の

絆で結ばれた異な縁の房総の旅であった。


    



   
                     


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